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ニュースリリース
日本における喫煙室内タバコ煙の評価基準値、
WHOの空気環境基準に比べ6倍高い
2006年12月7日 禁煙広報センター
〜「呼吸器疾患の発症、および悪化因子としての受動喫煙調査報告」
第56回 日本アレルギー学会秋季学術大会で発表 〜



 11月2日(木)から4日(土)まで東京国際フォーラムにて開催された「第56回日本アレルギー学会秋季学術大会」で、東京大学大学院 医学系研究科の中田ゆり氏が、「呼吸器疾患の発症、および悪化因子としての受動喫煙調査報告」について発表した。その中で、厚生労働省が1971年に定めた喫煙室内のタバコ煙(*1)の評価基準値が、WHOの空気環境ガイドラインに比べて6倍、米国の室内環境基準値と比べて、2.3倍高いことが指摘された。この基準値を米国環境保護庁(Environmental Protection Agency)の大気質指標(Air Quality Index、本リリースに添付) に照らし合わせてみると、「心臓病や肺疾患がある人、老人や子供はこの環境での長時間にわたる活動や激しい運動は避けたほうが良い」と警告される、有害(Unhealthy)のカテゴリーに分類される。

 中田氏はこれまで産業医科大学産業生態科学研究所 健康開発科学研究室の大和浩教授とともに、飲食店、タクシー、新幹線、カラオケ施設、家庭、自家用車などにおける受動喫煙の程度や量について、デジタル粉じん計によって測定・グラフ化し、その空気環境を評価してきた。その結果、受動喫煙防止のためには、同じ空間に喫煙席と禁煙席を配置する不完全分煙では効果がなく、屋内の完全禁煙が一番効果の高い対策であることが実証されている。

 今回の発表では、過去の研究を総括した上で、日本で使用されている喫煙室内のタバコ煙の評価基準値(150μg/m3)が、WHOの空気環境ガイドラインの値(25μg/m3)と比較すると6倍、米国の室内環境基準値(65μg/m3)と比較すると2.3倍高いことが明らかにされた。なお、今年発表された米国の公衆衛生長官の報告書(URL: http://www.surgeongeneral.gov/library/secondhandsmoke/)では、受動喫煙に安全なレベルはなく、基準値以内であれば安全であるとは認められないため、ゼロもしくは可能な限り低い濃度に設定するべきだと結論づけられている。

 中田氏は、「喫煙室内で働く労働者が多く存在することから、基準値の早急な見直しが必須。また、これまでは禁煙席へ煙が流れても基準値内であれば大丈夫と誤解されていた傾向があるが、禁煙席は煙が検出されない安全な空気環境でなければならない」と指摘している。今後は、日本における喫煙室内タバコ煙の評価基準値の見直しと合わせて、タバコの燃焼により発生する室内の微粒子を測定することで、受動喫煙の有無を確認し、タバコ煙による汚染のない生活環境を確保するための効果的な受動喫煙対策を提唱してゆくという。


*1環境タバコ煙
タバコの煙は、喫煙者が吸い込む主流煙、喫煙者が吐き出す呼出煙、火をつけたたばこから出る副流煙に大別される。これらのうち、呼出煙と副流煙をあわせて環境タバコ煙と呼ばれている。


<参考資料>


WHO 大気環境ガイドライン (2005年)
PM2.5: 年間平均値 10 μg/m3  24時間平均値  25 μg/m3
PM10: 年間平均値 20 μg/m3 24時間平均値  50 μg/m3



室内空気環境基準(米国)
汚染物質 一次標準物質 平均時間 二次標準物質
一酸化炭素 9 ppm (10mg/m3) 8時間 なし
35 ppm (40mg/m3) 1時間 なし
1.5 μg/m3 四半期平均 一次標準物質と同じ
二酸化窒素 0.053 ppm (100μg/m3) 年間(算術平均) 一次標準物質と同じ
粒子状物質(PM10) 50 μg/m3 年間(算術平均) 一次標準物質と同じ
150 μg/m3 24時間
粒子状物質(PM2.5) 15.0 μg/m3 年間(算術平均) 一次標準物質と同じ
65 μg/m3 24時間
オゾン 0.08 ppm 8時間 一次標準物質と同じ
0.12 ppm 1時間(限られた範囲でのみ適用) 一次標準物質と同じ
硫黄酸化物 0.03 ppm 年間(算術平均) ――――――
0.14 ppm 24時間 ――――――
―――――― 3時間 0.5ppm (1300μg/m3)



米国環境保護庁 大気質指標
大気環境 空気環境指標 PM2.5 (μg/m3) 健康に関する勧告
良好 0-50 ≦15 なし
中程度 51-100 16-40 著しく敏感な人は、長時間にわたる活動や激しい活動は減らしたほうが良い。
敏感な人には有害 101-150 41-65 心臓病や肺疾患のある人、老人や子供は長時間にわたる活動や激しい活動は減らしたほうが良い。
有害 151-200 66-150 心臓病や肺疾患のある人、老人や子供は長時間にわたる活動や激しい活動は避けたほうが良い。それ以外の人も長時間にわたる活動や激しい活動を減らしたほうが良い。
非常に有害(警告) 201-300 151-250 心臓病や肺疾患のある人、老人や子供は屋外でのすべての活動を避けたほうが良い。それ以外の人も長時間にわたる活動や激しい活動は避けたほうが良い。
危険 ≧301 ≧251
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