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乳児への受動喫煙は防止できるか
2007年12月10日 禁煙広報センター

    11月11日に行われた、日本対がん協会主催のJCSクリーンエアー賞創設記念シンポジウムにて、産業医科大学健康開発科学研究室の中田ゆり氏は、家庭内喫煙者による乳児への受動喫煙の影響に関する研究結果を発表した。

 本研究は、一般的なマンションにて喫煙者が乳幼児のいる部屋や、ベランダで喫煙した直後に部屋に戻った場合の乳幼児の受動喫煙曝露の濃度を客観的に把握することを目的に行われた。乳児と喫煙者の父親がいる家庭で、@乳児と同じ部屋で喫煙した場合(乳児との距離は約2メートル)に乳児が曝露されるタバコ煙濃度、Aベランダで喫煙した直後、部屋に戻って乳児に話しかけた時に乳児が曝露されるタバコ煙濃度を粉じん濃度のリアルタイムモニタリングで評価した。

 まず、乳児がいる部屋で親が喫煙した場合、喫煙直後から、乳児の周囲の粉じん濃度は0.66 mg/m3に達し、厚生労働省が定める喫煙室内の評価基準の4.4倍に上昇した(下図参照)。喫煙しながら乳児に話しかけた場合では、乳児の周囲の粉じん濃度は、父親が首にかけている粉じん計とほぼ同じ濃度となった。また、親がベランダで喫煙した直後に室内へ戻った場合には、親の呼気中のタバコ煙が部屋に排出され、乳児の周囲の粉じん濃度が元の数値の1.8倍となり数分間高くなった。喫煙後に窓を開けて換気しても、室内の粉じんは1時間以上排出されず部屋に滞留していた。

図.リビングで親が喫煙した場合の同室の乳児への煙の流れ

 以上の結果を踏まえ、中田氏は、家庭内に喫煙者が同居する場合、喫煙後に窓を開けての換気をしても、また、ベランダで喫煙しても、同居する家族の受動喫煙を完全に防止することはできないことが認められたとまとめている。

 また、中田氏は次のようにコメントしている。

 「別の研究(産業医大 大和浩教授)では、喫煙直後の呼気にはタバコ煙が含まれており、タバコを吸い終わってから約40回分の呼気から粒子状物質が検出されることが明らかになっている。また、親が日常的に外やベランダで喫煙している場合でも、子供の尿からニコチンの代謝物質であるコチニンが検出されているという研究結果(井埜利博・群馬パース大客員教授)がある。吸う時だけ場所を移っても、受動喫煙の影響が出るのだ。受動喫煙の一番の被害者は、自分の意思ではタバコの煙から逃れることができない幼い子供たち。発達途中であり身体が未熟な乳幼児の受動喫煙は、将来の健康を脅かされるため特に危険である。しかしながら日本では未だに自宅、飲食店や列車、自家用車の中で、親が子供のそばで喫煙している姿を目の当たりにする。また、喫煙席で、子供をひざに抱きながら喫煙する親もいる。「受動喫煙は、静かな児童虐待」とも言われる。ホタル族では受動喫煙を防止することが不可能であることから、乳幼児、子供がいる家庭では、家族は禁煙するべきである。」


* 尚、本研究は、乳児に受動喫煙を曝す環境を人工的に設定したのではなく、乳児と喫煙者の父親がいる家庭の日常的な喫煙シーンで、粉じん濃度を測定したものである。測定後には、父親に測定結果とその影響について説明し、禁煙を促した。

この件に関する問合せ先
禁煙広報センター (http://www.kin-en.info) 屈岡(くつおか)/坂本
電話: (03)5445-1273 ファックス:(03)5427-7325
e-mail:info@kin-en.info
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