家庭での受動喫煙、一番の被害者は2〜5歳の幼児
受動喫煙は、子どもの循環器にも影響
2008年4月18日
禁煙広報センター
米国心臓協会が3月13日に開催した第48回年次総会で、家庭での受動喫煙は、幼児に心臓病のマーカー(標識形質)を誘発するおそれがあるとの研究発表が行われた。
成人の心臓病が、子供時代に始まり、緩やかに進行していくことは昔から知られているが、今回発表された研究によって、喫煙が子供に与える影響が、呼吸器だけでなく循環器にも及ぶことが見出された。当研究は、主席研究員を務めた米国オハイオ州コロンバスのネーションワイド・チルドレンズ・ホスピタルの小児科医兼外来診療医であるジュディス・グロナーによれば、「受動喫煙が幼児の循環器に及ぼす影響を見出した初の研究」である。
本研究は、2歳から5歳の幼児、9歳から14歳の小児の合計128人を対象に行われた。親の喫煙が同レベルの家庭では、2歳から5歳の幼児は9歳から14歳の小児に比べて、約6倍の量のニコチンを吸収しており、また、受動喫煙への曝露によって血管内皮損傷のマーカー(EPC)や炎症のマーカー(ICAM)が著しく高まっていることが示された。
2歳から5歳の幼児の毛髪中の平均ニコチンレベルは12.68ng/mg(1ミリグラム中の重量、単位はナノグラム)で、9歳から14歳の小児は平均2.57ng/mgであった。また、幼児では炎症のマーカーである可溶性ICAM(細胞内接着分子)が有意に高いレベルを示した。
「喫煙者の家庭にいる幼児は、ニコチンだけでなく、血中の循環器疾患マーカーも高いレベルとなっている。家庭の内外を自由に歩き回れる小児と違い、幼児にとって家庭は金魚鉢のようなもの。タバコの煙への曝露が多く、循環器への影響をより多く受けるようになっている」と、当研究の上席研究員を務めたネーションワイド・チルドレンズ・ホスピタルの循環器センター長を務めるジョン・バウアー博士は語っている。
グロナーは、「家庭で喫煙者の近くにいる幼児は、タバコによる化学物質をより多く摂取している。幼児は家庭から離れることはできない。幼い子供ほど呼吸数が多く、呼吸器に取り込む煙の量も多くなる。両親やまわりの大人は、子供がいる家庭では禁煙するなど、幼児とタバコの問題について理解を深めることが望まれる」と語っている。
研究対象となった子供たちの受動喫煙レベルは、24時間内に何人の成人喫煙者がまわりにいるかで決定された。体内のニコチンレベルの測定には毛髪を用い、内皮前駆細胞(EPC)レベルは採取した血液中の流動細胞数測定によって測定した。EPCは血管内皮を補充する役割を持ち、血管の機能に関するバイオマーカーとなっている。また、ICAMをはじめとするその他の炎症に関するマーカーについても測定を行った。
大阪府立成人病センターの所長 大島明氏は、この家庭での受動喫煙の影響について、次のように述べている。
「受動喫煙が子どもに対して、乳児突然死症候群、急性呼吸器感染症、中耳炎、喘息の悪化の原因となることは確立しているが(米国公衆衛生長官報告書、2007年)、幼児の循環器疾患への影響はこれまで明らかではなかった。日本では、先ずは、屋内の職場、屋内の公的な場所、そして公共交通機関における喫煙の法的規制の実現が喫緊の課題であるが、これが実現した次の段階には、家庭やマイカーでの受動喫煙の防止を如何にして実現するかが課題として控えていることがわかる。先進国の経験から学んで、受動喫煙防止のためにするべきことはまだまだ山積している。」
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