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主要国のたばこ対策の現状
「WHO Report on the Global Tobacco Epidemic, 2008 - The MPOWER package」より
2008年4月25日 禁煙広報センター

WHO(世界保健機関) は、2008年2月7日に新しいたばこ対策レポート「WHO Report on the Global Tobacco Epidemic, 2008 - The MPOWER package」を発行しました。これは、世界各国のたばこ政策の現状について標準化されたデータを集めて作られた、世界初のレポートです。その付録資料「Country Profiles(国別禁煙事情)」の中から、主要国のたばこ対策の現状についてまとめました。資料としてお役立ていただければ幸いです。

 WHO(世界保健機関)は、世界のたばこ対策の現状について調査し、禁煙を推進するために各国が優先的に採るべき6つの政策を「MPOWER」(下記参照)という政策パッケージにまとめた。「MPOWER」とは以下の6つのことである。

M:Monitor tobacco use and prevention policies

 (タバコの使用と予防政策をモニターすること)
P:Protect people from tobacco smoke
 (人々を受動喫煙から守ること)
O:Offer help to quit tobacco use
 (禁煙支援の提供)
W:Warn about the dangers of tobacco
 (タバコの危険性についての警告)
E:Enforce bans on tobacco advertising, promotion and sponsorship
 (タバコの広告、販促活動、タバコメーカーのスポンサーシップの禁止の要請)
R:Raise taxes on tobacco
 (タバコ税の引き上げ)

 MPOWERの6つの観点から、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、韓国、そして日本の6カ国の現状について、添付資料にまとめた(アメリカは州によってたばこ対策の進展が大きく異なるため、この表からは除外した)。

 禁煙推進に最も効果のある政策である「たばこ税の引き上げ」が反映されるタバコ価格を見ると、日本はイギリス、フランス、ドイツの価格の半分以下、イタリアの約2/3で、韓国よりも安いことが分かった。次に効果のある政策は人々を受動喫煙から守るための禁煙箇所の増加であるが、イギリス、フランス、イタリアではあらゆる公共施設で全国的に禁煙に、ドイツでは一部の州で限定的に禁煙が定められている。韓国についても、医療施設や教育関連施設では禁煙化が義務付けられているのに対して、日本の公共施設はいずれも禁煙が国の法令としては定められていない。また、ニコチン依存の治療(禁煙治療の提供)については、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアのいずれの国も禁煙のための電話相談窓口を設けているが、日本は設けていない。以上のように、日本のたばこ対策の遅れが示された。
 
 日本のたばこ対策の現状について、国立がんセンター研究所のたばこ政策研究プロジェクトリーダーである望月友美子氏は、以下のようにコメントしている。

「現代社会の病、たばこ問題は20世紀をかけて世界中に蔓延したが、今世紀に入って発効したWHOたばこ規制枠組条約は、世界中の政府や専門家やNGOの英知の結晶である。MPOWERはその中から特に即効性のある政策を抽出した特効薬で、レポートで示される客観的なバイタルサインによって把握された各国の状況に照らし合わせて、処方と投薬がなされるのが望ましい。日本の遅れた状況は過去の診断の誤りと適切な治療指針がなかった結果であり、また、この流行の媒介者(ベクター)であるたばこ産業が政策形成に影響を及ぼしたことにもよる。ドイツや韓国などでも同様だったが、その悪影響をはねのけるだけの力が市民社会に蓄えられてきた。日本でさらに取り組むべき禁煙環境の整備は、たばこを吸わないのが当たり前という社会通念と新しい価値を創造する過程であり、そのためには強い政治的意思と、より多くのアドボカシー活動が必要だ。」

表. 主要国のたばこ対策の現状 *1

喫煙率
  英国/
北アイルランド
韓国 日本
男性 27.0% 28.2% 28.3% 27.9% 52.8% 43.3%
女性 25.0% 21.7% 16.2% 18.8% 5.8% 12.0%

タバコの価格
  英国/
北アイルランド
韓国 日本
タバコ1箱の価格
(US$公式レート)
$9.69 $6.33 $4.05 $5.62 $2.63 $2.58
タバコ1箱に占める
税金の割合(%)
63% 64% 58% 62% 54% 58%

タバコの広告、プロモーション活動の禁止
  英国/
北アイルランド
韓国 日本
全国放送のTV・ラジオ ×
海外放送のTV・ラジオ × × × × ×
国内の雑誌・新聞 × × ×
海外の雑誌・新聞 × × × × ×
掲示板・屋外広告 × ×
販売時点情報管理(POS) × × × × ×
インターネット × × × ×
無料配布 × × ×
割引販売 × ×
タバコのブランド名を
付したタバコ以外の製品
× × × ×
タバコ製品ではないブランド名のタバコ製品への使用 × × × ×
TVおよび映画への
タバコ製品の露出
× × ×
各種イベントの
スポンサー活動
× × × ×

スモークフリーの環境
  英国/
北アイルランド
独 *2 韓国 日本
医療施設 × ×
教育関連施設
(大学を除く)
× ×
大学 × × ×
官公庁 × ×
職場(屋内) × ×
レストラン × × ×
パブ、バー × × ×

タバコパッケージの警告文
  英国/
北アイルランド
韓国 日本
誤解を招く恐れがある表現を禁止する法規 × ×
警告表示が占める面積割合 30% 30% 30% 30% 30% 30%
警告表示記載の義務付け、および記述の特定性
パッケージ/ラベルへの
警告文の有無
警告表示の大きさ、明白さ、目につき易さ、読み易さ
警告表示の定期的な変更
警告表示の主要言語による記載
画像の有無 × *3 × × × × ×

ニコチン依存の治療
  英国/
北アイルランド
韓国 日本
禁煙のための
電話相談窓口
×
禁煙補助剤(NRT)の販売
ブプロピオンの販売 ×
医療施設での
カウンセリング
ほとん
どの場
合○
× 一部○ 一部○ 一部○ 一部○
病院での
カウンセリング
ほとん
どの場
合○
× 一部○ 一部○ 一部○ 一部○
産業医による
カウンセリング
ほとん
どの場
合○
× 一部○ 一部○ × 一部○
地域での
カウンセリング
一部○ × 一部○



*1. アメリカについては、州ごとに対策が行われているため、対象から除いた。
*2. ドイツでは、2007年8月1日より、一部の州で飲食店を含む公共施設が禁煙になった。2008年年内には、全ての州で実施予定とされている。
*3. 2007年8月に、英国政府はタバコ包装につける画像入り新警告表示に関する法改正(2008年10月1日施行) を発表している。

【喫煙率の出典】
イギリス:2002 General Household Survey-Great Britain
フランス:2005 Barometre Sante
イタリア:2005 Fumatori in Italia, 2005
ドイツ:2005 Leben in Deutschland-Haushalte, Fmilien und Gesundheit, Ergebnisse des Mikrozensus
韓国: 2005 Korea National Health and Nutrition Examination Survey
日本: 2004 平成16年国民健康栄養調査の概要
 
この件に関する問合せ先
禁煙広報センター (http://www.kin-en.info) 屈岡(くつおか)/坂本
電話: (03)5445-1273 ファックス:(03)5427-7325
e-mail:info@kin-en.info
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